小学校2年生の終わりにボクは転校生になる
小学生のころ、転校してからボクの人生は変わった気がする。
マンモス校だった小学校から僻地の廃校寸前の小学校への転校。転校前の学校の1クラス40名にも満たない全校生徒。ボクの同級生はボクを入れて6名と障害のある一つ上の先輩が1人。
マンモス校では目立たない群衆に埋もれたボクのアイデンティティが転校と同時にクローズアップされる。
運動は普通、勉強できない、忘れ物が多い、宿題忘れる(やってない)、宿題やってないのにウソをつく。授業も落ち着きがなく集中できない、掃除とか集団でやることが一緒にできない。たぶんボクの記憶ではそんな感じの子だったはず。とにかく毎日のように先生に怒られた。
小学校の5,6年生くらいでハマってたのは当時流行っていたガンプラ。自分で改造したりダメージ加工したり一日中イジってた。放課後に学校の友達と遊ぶのも好きだったけど、親からしたら自分より年下の子ばかり引き連れて遊んでるしオモチャばっかりイジってるし幼稚な子供に見えてたと思う。勉強しないで遊んでばかりで親にも良く怒られた。
そんな小学校生活を過ごすなかで、それなりに自信を持ってることもあった。学芸会などで舞台の上で表現することや、歌を歌ったり踊ったり、確か太鼓を叩いたときも褒められた記憶がある。小学校みんなで取り組んでいたマーチングバンドでトランペットを吹いてたのも好きだった。
絵や文を書くことも好きだった。交通安全のポスターや赤い鳥募金のポスターで金賞をとって名古屋まで飾ってあったのを見に行ったこともある。6年生の卒業文集の表紙に選ばれたのは嬉しかったな。
弟や妹が勉強や運動で賞状をもらい飾ってある並びに僕だけ絵の賞状があった。数少ない賞状を飾ってくれた親の気持ちは嬉しかったけど本当は恥ずかしいからヤメテほしいと思ってた。実はちょっと惨めな気持ちになってた。
先生と父親とボク
当時、担任だった先生は熱血だったからかボクを何とかして皆と同じように躾ようと思って毎日のようにボクを怒ってた。人並に生活できる、人と同じコトができるようにしてやる。そんな感じだったと思う。クラスの皆の前でも、こっぴどく怒られた。
ボクは、それが凄く窮屈で嫌だったから先生のことは嫌いだったし怖かった。実際に先生に会うと手が震えた記憶もある。
家では父親にも同じように毎日のように怒られてた。父親のことはあまり書きたくないがヤクザの一歩手前みたいな人だった。仕事を転々とし家では酒飲んで麻雀して大声で怒鳴りちらす。もちろん父親のことも嫌いだったし怖かった(父親のほうが暴力的だったし)
学校にも家でも怒られてばかりだから気分が悪いと言っては何回も学校をズル休みをした。
父親が仕事に出かける頃を見計らって母親に「お腹が痛い」「頭が痛い」なんて嘘ついて学校を休んだ。5.6年生のころは頻繁に休んでた気がする。
ズル休みというのは、たいがいバレるもの。それに自分でも後ろめたいから休んでいても楽しくない。むしろ自分の惨めさに嫌気がさしていた。
想像と妄想とボク 本と音楽
そんなボクが好きだったのは本を読むこと。本のなかでは自分の想像通りの世界が広がる。学校や家庭でのイヤな感情も忘れて自分の世界に没頭できる。そんな時間が好きだった。当時好きだった歴史上の偉人について書いてある伝記の本は自分も偉人のようになれるかもしれないと淡い期待を抱かせてくれた。図書室にある伝記はたぶん全部読んだ。
- 野口英世
- ヘレンケラー
- ナイチンゲール
- 徳川家康
- キューリー夫人
- 一休さん
- ベートーベン
- 福澤諭吉
- リンカーン
- シュバイツァー
- ベーブ・ルース
- キリスト
- 二宮金次郎
- 新渡戸稲造
- ノーベル
- コロンブス
- ライト兄弟
- マリー・アントアネット
- 織田信長
本を読みながら偉人になった自分を想像しては妄想を楽しんでた。本を読みながら密かに生まれる根拠のない自信とともに小学校生活を過ごしてた。
お爺ちゃんの応接間にあったステレオを勝手に使い音楽を聴くのも好きだった。お爺ちゃんは学校の先生だったからクラシックやオーケストラ、ジャズもあったような気がする。記憶が確かではないけど「聖者の行進」のトランペットが好きだった気がする。音楽を聴いてるときも現実から離れていれる時間だった。
小学生生活の終わりと廃校
小学校を卒業するときは、少しも悲しくなかった。
卒業と同時に廃校になってしまう小学校への寂しさはあったけど、やっと今の境遇から解放されるような気分と新しいスタートが始まることのウキウキとした期待感。
同級生が流す悲しい涙に不思議な違和感を持ちながらボクの小学校生活は終わる。
だけどね、現実はそんなに甘くない。次に続くかも?
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